マヌルネコの町に降り注ぐ真夜中のオーロラを浴びながら、七歳の能能は琥珀学院を見つめ、ひそかに誓った。ひいおばあちゃんのような首席幻形師になるんだ、と。
ところが、いざ琥珀学院に足を踏み入れてみると、幻形の道はいばらだらけで、どこもかしこもでこぼこだった——隠密の授業の試験では、雪原で化けた雪狐が、孔雀よりも派手な、七色に光るふわふわのしっぽを振り回してしまう。採集の授業でみんなが身軽な子ザルに化けたときには、彼女の化けた巨大ナマケモノが果樹林をまるごと押し倒してしまい、そのせいでクラス全員で、しなびたベリーを三粒しか持ち帰れなかった……。こうしたやらかし現場は後を絶たず、卒業のとき、同級生たちのエーデルワイスの徽章が次々と輝くなか、能能の徽章だけはずっとくすんだままだった。
学校を出てからも、能能の「社会的に死ぬ」体質は、泣くに泣けず笑うに笑えないハプニングを次々と生み出し続けた。そんなある日、小道具係として撮影クルーに同行していた能能は、提携先として来ていたVirtuaRealのスタッフと出会う。そのスタッフがみんなと一人ずつ握手をしていたときのこと。能能が手を差し出した途端、巨大な黒猫のぬいぐるみが現れて相手を押しつぶし、同時にしっぽがタコの触手に変わってスタッフをゴミの山へと薙ぎ払い、さらには受け取った名刺まで、VirtuaRealの招待状に変えてしまったのだ。
「君、撮れ高がすごいね。それに何かの縁も感じる。何より、君の無意識の行動は、うちの視聴者が喜んで見たがるものにそっくりなんだ。配信者の才能があるよ! よかったら、うちで試しにやってみないか」ゴミの山からもがきながら這い出してきたスタッフは、そう言った。
これからの活躍に、どうぞご期待ください。