克羅雅は、創世神ガイアが初めて人間を創ったときに置き忘れた下書きだ。純粋な神の創造物でもなければ、本当の人間とも言いがたい。その存在をひと言で定義するなら、それは混沌である。
「神にあらず、人にあらず」の狭間にはまり込んだ克羅雅は、いつまでたっても自分の居場所を見つけられなかった。そこで彼女はいっそ開き直って、生まれ持った混沌の力を、寝て、食べて、何もせずに過ごす毎日に、湯水のごとく使い果たすことにした。けれど、そんなぼんやりとした日々にも、いつかは終わりがやってくる。
ある日、そそっかしい克羅雅は、神の最も大切な宝物を割ってしまった。慌てふためいた彼女は宝物をつなぎ合わせようとしたが、かえってもっと粉々にしてしまう。堪忍袋の緒が切れた創世神は、すぐさま神罰を下した——彼女の背中の純白の天使の翼はたちまち悪魔の翼と化し、清楚な白いヴェールも黒く染まってしまったのだ。
その償いとして、克羅雅は遥か未来へと強制的に送られ、まったく未知の世界でひとり生き抜かなければならなくなった。こうして克羅雅は雲の上から人間界へと転げ落ち、数万年もの時の奔流を越えて、最後には顔を下に、お尻を上に向けたみっともない格好で地面に叩きつけられ、VirtuaRealのビルの前に大きな穴をあけたのだった。
物音を聞きつけて駆けつけたスタッフは、悪魔の翼を生やし、頭上に天使の輪まで浮かべたこの奇妙な少女を見るなり、有無を言わさず社内へ運び込み、その場で入社のオファーを差し出した。
まだ動揺の収まらない克羅雅は、すぐさまその誘いを受け入れた。もっとも、断る理由も特になかったのだけれど——もしかしたら、ここを自分が本当の「人間」になるための第一歩にすればいいのかもしれない。
これからの活躍に、どうぞご期待ください。