灰沢満は、とっくに転校生活に慣れっこだ。数年おきに通学カバンをまとめ、新しい名前に変えて、学生生活をまた一からやり直す。なにしろ、見た目が永遠に十六歳のままの少女がひとつの学校に長く居すぎれば、いずれ周りに怪しまれてしまうのだから。
正体を隠すために作られてきた灰沢満の学籍簿は、積み上げると、なんと彼女が大切に集めているゼリーのコレクションよりも高くなる。そう、ゼリーだ——この半透明でぷるぷる揺れる小さなものに、彼女はほとんど偏執的なまでの愛情を注いでいる。カバンのチャームも、ノートの表紙も、パジャマの柄も、どれもこれもゼリーのデザイン。寮の部屋の隅には、ゼリーの非常用備蓄ボックスまで隠してある。機嫌のいいときはひとつ食べ、機嫌の悪いときは一気に三つ平らげる。
最近、彼女はまた新しい学校に転入し、豊富な「学生経験」を武器に、見事風紀委員に選ばれた。毎日校門に立って違反者リストをつけながら、彼女はいつも心の中でひそかに考える。今回はここにどれくらいいられるだろう? また奇妙な事件に巻き込まれたりしないだろうか?
そして何より——今度こそ、彼女は自らの出生の謎を解き明かせるのだろうか?
これからの活躍に、どうぞご期待ください。