莉蔻が生まれて初めて組織から任務を受けたと思ったら、いきなりとんでもない大仕事が回ってきた。人間社会に紛れ込み、「隠れた未知の生物」を調査せよというのだ。でも問題は——うさ耳の生えたうさぎが、どうやって人間社会に紛れ込めっていうの!
生まれてこのかた一度も秘密基地を出たことのない莉蔻は、しわくちゃの任務概要を握りしめ、見知らぬ街の交差点でぶるぶる震えていた。人間の世界は怖すぎる。車の流れは絶え間なく押し寄せる大河のようで、ネオンは夜にぎらりと光る狼族の目よりもまぶしい。怯えた莉蔻のうさ耳は、危うく頭の帽子を突き飛ばしそうになった。
コンビニの入り口で縮こまり、にんじんアイスキャンディーを三本かじり終えて、彼女はようやく勇気を振り絞って地図を広げた。そのとき突然、向かいのビルの前から「ドーン」と大きな音が響いた。莉蔻の耳が「ピンッ」とまっすぐに立ち、彼女はぱっと顔を上げた——見ると、頭上に天使の輪を浮かべた少女が、顔を下に、お尻を上に向けた格好で地面に叩きつけられ、大きな穴をぶち開けていた。もっととんでもないことに、その少女はどう見てもかすり傷ひとつ負っていない。続いて会社から人がわらわらと出てきて、寄ってたかって彼女を中へ運び込んでいった。
未知の生物? 目の前にいるのが、まさにうってつけの調査対象じゃない! 人間があんな大穴をあけておいて、無傷でいられるわけないもん!
彼女は荷物をひっつかむと、たちまち心を決めた。調査は、この奇怪な出来事を平然と受け入れた、謎の会社から始めよう!
これからの活躍に、どうぞご期待ください。