妮慕は、幻想の中の王国からやってきた。その王国がどこにあるのかは、誰も知らない。彼女は一冊の不思議な物語の本の力で、この世界へと渡ってきたのだ。見たこともない珍しいものや、味わったことのないおいしい料理に、このおとぎ話のような少女はたちまち心を奪われた。
少女が家に帰ることを思い出したときには、あの物語の本はもう行方知れずになっていた。帰り道を探していた彼女は、チラシの束を抱えて、とある研究所から逃げ出してきたばかりのかわいい人間と、正面からぶつかってしまう。このかわいい人間は妮慕を責めるどころか、彼女の身の上を聞くと、日が西に沈むまで一緒に本を探してくれた。けれど残念ながら、結局は何も見つからなかった。
妮慕が途方に暮れていると、この通りすがりの親切な市民は、「VirtuaReal」の看板が掲げられたビルの前へ彼女を連れていき、ここには不思議な経験をした仲間がたくさんいるから、家に帰る方法を見つける手助けをしてくれるかもしれない、と教えてくれた。
ところが、こちらでしばらく暮らすうちに、好奇心旺盛な妮慕は、楽しさのあまり帰ることを少々忘れかけている。目下の関心事は、「本から抜け出してきた神獣」と呼ばれる新しい同僚と、物語の本を通ってこの世界にやってきた自分とでは、いったい何が違うのかを突き止めることだ。
これからの活躍に、どうぞご期待ください。