屈強な狼は打ち負かされず、聡明な狼は欺かれず、変身を極めた狼はどこへでも入り込む。群れの頭狼として、天狼星が正位に昇った日に生まれた星宸は、これまで一度たりとも他狼を失望させたことがない。人の姿に化けて人間界をうろつき、詐術で子どもからペロペロキャンディーを巻き上げ、ひとりぼっちの運の悪いやつを脅してはいじめる——まさに愉快痛快の極みで、群れの狼々は皆、彼を誇りに思っていた。VirtuaRealというコンビニに強盗に入ろうとするまで、彼は「失敗」の二文字の書き方すら知らなかったのだ。この一件には見どころなど何ひとつなく、店の隣のカフェのマスターさえ騒ぎに気づかないまま、一日臨時店長を務めていた黒髪のアニキに星宸が強制的に収容されるという結末で幕を閉じた。研究標本にされないよう、星宸はアニキに対し、臨時店員になって配信で身代金を稼ぐつもりだと、それはもう積極的にアピールした。口ではそう言っているものの、本当は配信を通して人間を観察し、アニキを叩きのめすチャンスをうかがっているのだ……たぶん、うまくいくだろう?