天国は左、地獄は右。幼い頃から天国で暮らしてきた犬童は、自分の暮らしにとても満足していた。イケメンとイケメンが恋に落ちることもなければ、少年たちの厚い友情を描いた雑誌が発売されることもない、お隣の地獄に生まれなかったことを幸運に思っていたのだ。天国の番犬である犬童は、ちょっとサボったくらいで人間界へ蹴り落とされるとは夢にも思っていなかった。とはいえ、とても口には出せない薄い本をより多く、いち早く手に入れられるこの人間界にいること自体は、別に構わない。だが、ここでは誰もタダでエサをくれないし、かといって昔の仕事に戻って普通の人間のために番犬をするつもりもない。熟考を重ねた末、犬童は「いい文明」の伝道師になることを決めた。人間界でたいそう流行っているらしい配信という手段で、頭の中に詰まった「ブツ」をみんなと分かち合い、より多くの共感者と支持者を得ようというのだ。動物愛護協会が早々にこの子を保護しに来ませんように。——伝道を聞いた、とある名もなき赤面の聴衆より。
これからの活躍に、どうぞご期待ください。