自分のもとでめきめきと頭角を現しつつある新星・茉里の話になると、向かいに座る先輩はまたミルクティーをつかんで、ぐいっと大きくあおった。私の知る限り、この人はこんなもの飲まなかったはずでは? それに以前は、どんな新人も褒めたことがなかった。なにしろスカウトマンたる私たちは、何事も媚びず驕らず評価しなければならないのだから。ところが、すべてが変わってしまった。茉里という赤い瞳の女の子と関わってからというもの、先輩は人が変わったように、どの店のミルクティーがいちばん彼女の口に合うか、今日はどのかわいい少年タレントを茉里の相方に選ぶべきかと考えるようになった。その目からは理知の光が消え、代わりに妙な熱気がみなぎっている。以前はあんなに冷静な人だったのに。彼女が先輩に怪しい薬でも盛ったんじゃないかと疑わなかったわけではない。でも、あの子はどう見てもいい子だ。素直で、礼儀正しくて、まるで貴族のように優雅で品がある。悩ましい。手元にあるこのVirtuaReal本社行きの貴重なチャンスを、彼女に譲るべきだろうか? 自分で育てているタレントのために取っておくつもりだったけど、でも、彼女が欲しいって言うなら……チャンスなんて、また次に勝ち取ればいいよね! ほら、こんなにかわいい茉里が、私に「ありがとう」って言って、お辞儀までしてくれたんだから。ああもう神様、最高すぎる!
これからの活躍に、どうぞご期待ください。