本の虫と呼ばれるような人間には、誰しも多かれ少なかれ出会ったことがあるだろう。だが、来る日も来る日も飽きもせずに本を抱えている者となると、やはりごく少数だ。ところが、VirtuaReal大学の図書館には、そんな例外がひとりいる。今にも突然気を失ってしまうのではないかと、いつも人に思わせる奇妙な少女だ。ここの閲覧席には、誰も手に取らないような珍しい本をめくっている少女がいつも座っている。飢えた狼のようにぎらつく眼差しと、身の回りにまとわりついて離れない陰鬱な冷気のせいで、ほかの学生たちは彼女を遠巻きにしている。図書館で退治されそこねた地縛霊か何かなのでは、とひそひそ噂する者までいるほどだ。しかし、彼女はそんなありきたりな怪談のたぐいではない。その怪しさは、ついにあのお方の目に留まることになった。「こんなやり方じゃ、効率が悪すぎるんじゃないかな? 本を借りるのだってお金がかかるでしょう? そんなに知識を得るのが好きなら、もっと周りの人と交流してみたらどう? 千年以上も生きながら、この世をさまよい続けてきた蝶の奇譚なんて、きっととても人を惹きつけると思うよ」ある日、向かいに座った黒髪ツインテールの学長は、そう言った。すると、黙って本を置いた彼女は、首をかしげて学長様を見つめ、とうとう喉まで出かかった「いやです」を飲み込んだのだった。
これからの活躍に、どうぞご期待ください。