「西に水行すること百里にして、翼望の山に至る。草木無く、金・玉多し。獣有り、其の状は狸の如く、一目にして三尾、名を讙と曰ふ。其の音は百声を奪ふが如し。是れ以て凶を御ぐべく、之を服すれば癉を已やす。鳥有り、其の状は烏の如く、三首六尾にして善く笑ふ、名を鵸鵌と曰ふ。之を服すれば人をして厭せざらしめ、又以て凶を御ぐべし」
これは『山海経』における讙の記述である。沐毛はまさにその讙なのだが、翼望の山に住んでいるわけではなく、東南沿岸のとある小さな山村で暮らしている。しかもそこは俗世から隔絶されているわけでもなく、ただデリバリーや宅配便がなかなか届かないというだけの場所だ。
そんなわけで、沐毛もとっくに人間社会に溶け込んでいる。神獣としてはまだほんの幼獣だが、人間社会でいえば、ちょうど大学を出たばかりなのに就職先が見つからない年頃。小さな心には、本来背負わなくていいはずの重圧がのしかかっていた。
幸い、長年いろいろなものを見聞きしてきた沐毛は、すぐに自分に合った仕事を見つけた——VTuberだ。そして今、「本から抜け出してきた神獣」として正式にデビュー!
「いやいや、なんでこんなところでキャラ被りするの!」
これからの活躍に、どうぞご期待ください。