この調査員は、謎めいた妖怪の国からやってきた。上からの命で人間社会の観察と調査に派遣された彼女は、昼間はさまざまなグルメを味わうのが好きで、街のあちこちでチンピラたちと兄弟分の付き合いをし、誰とでも楽しく談笑できる姐御。ところが夜に帰宅すると、明かりをひとつ灯し、お茶を一杯淹れて、深夜までひたすら報告書を打ち込む。しかも、期限どおりに報告書を出せなくて、給料をしょっちゅう差し引かれている。毎晩真夜中、十六個の常夜灯に囲まれたベッドで目を覚ますたびに、小さな布団にぎゅっとくるまって、思わず涙目のにゃんこと化してしまうのだった。だが、そんな暮らしの中にも、未羽を楽しませてくれることがある。それは、とても個性的な人たちとたくさん知り合えたことだ。たとえば、一歩も外に出ず、窓越しにしか話せない引きこもりの少女(彼女の窓の外の軒下は、静かに昼寝をするのにもってこいの場所だ)、魔法で異世界宅配便を届けるお嬢様(調査報告書の配達も彼女にお願いしている)、大雨でも傘を差さないのに風邪ひとつひかないクールなお兄さん(尾子という名の小さな白ヘビは、もともと彼自身のしっぽだったらしい)、そしてそのお兄さんの、お金持ちのボンボンの友人。ほかでもないこのものぐさなお坊ちゃんが、みんなのもとを訪ねてきて、VirtuaRealという組織に一緒に入らないかと誘ったのだ。もっとたくさんの人とすぐに知り合えると聞いて、未羽は喜んで承諾したのだった。
これからの活躍に、どうぞご期待ください。