尤格は、私立の貴族学校で有名な変わり者だ。部活動にはほとんど参加せず、いつも慌ただしく現れては去っていく。おまけに本人はクールで近寄りがたく、どこか陰気な雰囲気すら漂わせているため、同級生たちからは敬遠されている。だが実のところ、少々腹黒くはあるものの、尤格は決して悪い人間ではない。人付き合いや部活に参加しないのは、主に時間もお金もないからだ。謎めいた名家の出だという噂もある。そうでもなければ、高額な学費をどう払っているのか説明がつかないからだ。とはいえ、少なくとも生活費は自力で稼がねばならず、放課後は寸暇を惜しんでアルバイトに励んでいる。忙しい一日を終えて帰宅し、小さなアパートの扉を閉めたとき、尤格はようやく本来の姿に戻る——ネットサーフィンの達人、俗にいうオタクだ。ただし普通のオタクとは違い、仮想世界のどんな扉も壁も、彼の行く手を阻むことはできない。そんな暮らしぶりでも、尤格には新しい友達ができた。話は、ある湿っぽく冷え込む南方の冬にさかのぼる。尤格の特製「エアコン」の中から、ひとりのイケメン異世界王子が温風に乗ってやってきたのだ。
これからの活躍に、どうぞご期待ください。