異星の大学に通う優等生・桃星は、卒業論文のためにほかの異星種族の暮らしを体験する必要があり、地球へやってきた。降り立ってすぐ、子どもを欲しがっている老夫婦に出会った桃星は、自らの能力で長く幸せな記憶を捏造し、二人の子どもになった。これが、論文を完成させるまでに桃星が能力を使った最後の機会だった。以来ずっと普通の人間として暮らしているが、どう見ても彼はそれが得意ではない。人間をより深く知るため、桃星は落ちぶれた平凡な大学生を装い、心優しいサーカス団長に拾われて念願のピエロになった。ところが、業界の衰退に隣の手品師との競争、さらには仕事中に気もそぞろだったことがたたって、チケット売り場の売り子に回されてしまう。そしてつい最近、桃星はボスが「自動券売システム」なる強敵を作り上げたらしいことに気づいた。目前に迫った完全失業を回避すべく、彼はステージをネットの世界へと広げることを決意したのである。「というわけで、僕の音楽の夢をみなさんに応援してほしいんです」——突然VirtuaRealのオフィスに乱入し、その一秒後には柱にがんじがらめに縛りつけられた怪しいピエロは、身の上話を語り終えるとそう言った。そして、彼は採用された。
これからの活躍に、どうぞご期待ください。