VirtuaRealのeスポーツ部で副部長を務める御水は、部員の少ないこの部のために、毎日せっせと新入部員の勧誘に励んでいる。根っからの遊び好きな彼としては、そんなことに構うより、FPSを何戦かプレイして相手の頭を撃ち抜いているほうがずっと楽しいのだが、上に立つ丸投げ部長の鋭い視線の前では、いつもお手上げだ。
聡明で機転の利くタヌキは、脅しなど怖くはない。けれど、友人と呼べなくもない異性の、手慣れた嘘泣きと次から次へと繰り出される口上を前にしては、根が正直な御水には、断る口実がどうしても見つからなかった。頼みを引き受けたはいいものの、もともと内向的な御水は、物珍しげに集まってきた同年代の子たちを前にすると、部長が用意した決まり文句の山をなかなか口にできない。おかげで勧誘計画は惨憺たるありさまだった。
あれこれ考え抜いた末、御水は配信者としてデビューして、部の影響力を広げることにした。つたない言葉を並べるより、各地の腕利きプレイヤーと腕を競い合っているときの自分のほうが、ずっと魅力的で説得力がある——そう考えたのだ。それに、それこそが彼の何より好きなことでもある。部長の下働きなんてまっぴらだ、という一心で、御水は毎日、もっと、もっと努力を重ねている。
これからの活躍に、どうぞご期待ください。